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【藤井聡】土木政策を改めて「経済産業政策」として位置づけよ

土木政策を改めて「経済産業政策」として位置づけよ


京都大学 藤井 聡


 我が国の土木政策論の中では,どういう訳か「マクロ経済効果」が議論されることが少ない.ここに言う,マクロ経済効果とは,雇用創出や給料水準の向上に伴う景気の上昇効果である.この効果は,しばしば,公共事業の「事業効果」あるいは「フロー効果」とも呼ばれており,公共事業を通じて整備される施設そのものの効果である「施設効果」あるいは「ストック効果」とは区別されてきている.
 
 そのマクロ経済効果を無視する最も端的な例が,「費用便益分析」(B/C)である.

 例えば,道路政策では早くから費用便益分析が取り入れられてきているが,そこで考慮されているのは施設(ストック)効果のみであり,公共投資そのものの効果である雇用創出効果を含めたマクロ経済効果,あるいは事業(フロー)効果は一切考慮されていない.

 さらには,より厳密な経済学的手法として「応用一般均衡分析」というものも便益評価に活用されることもあるのだが,この中にも,事業(フロー)効果は考慮されていない.

 しかし,雇用創出に代表されるマクロ経済効果は,例えばドイツやイギリスでは,公共事業の便益評価の中で考慮されているのが実態である.この点を踏まえるなら,我が国の公共事業の便益は,それらの国よりも「過小に」評価されているのである.

 しかし,その過小評価は,我が国に甚大なる被害をもたらすものである,という事実に,我々はそろそろ気付くべきなのではなかろうか.

 なぜなら,公共事業を展開すれば雇用創出も含めて多様な便益が社会にもたらされるにも関わらず,それらが一切顧慮されることもなく,不要で無駄なものとして切り捨てられる公共事業が後を絶たないからである.すなわち,評価の際に切り捨てられた様々な便益は,それらの公共事業の切り捨てと共に「実際に」ゴミ箱に捨てられてしまっているのである.

 例えば,建設業界不況の今日にあってすら,建設業界は日本の全雇用の約9%を担い,かつ,日本のGDP の約6%にあたる30 兆円という内需を創出している.

 しかし,その事実がほとんど顧みられることがなく,公共事業の削減が今まさに続けられている.その雇用も内需も,日本の経済を牽引するものと目される事が多い自動車産業のそれら(雇用については約8%,GDP 比については約3%)を上回る水準である以上,公共事業の削減が深刻な日本経済の不況をもたらすことは避けられない.

 すなわち,土木をただ「地域と国土を支える営み」とだけ見なすのは過小評価と言わざるを得ないのであり,日本経済を支える中心的な「経済産業政策」の一つとしても位置づけなければならないのである.そうすることではじめて,過不足の無いかたちで「土木の全容」を描き出すことができる.我々がそうした認識を怠れば,我が国の経済は二度とはい上がることのできない水準にまで没落してしまうであろうことは十二分に想像できる

───,遺憾ではあるがそれが平成日本の現状なのである.

CE 建設業界,59(3),2010, p. 43.

出典:藤井研究室
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/images/stories/PDF/Fujii/200910-201006/CEkensetsu.pdf 

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