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【藤井聡】5年で100兆円の公共投資でデフレ不況の脱却を

5年で100兆円の公共投資でデフレ不況の脱却を


京都大学大学院教授 藤井聡


 いくら政府に900兆円に上る借金があるといっても、現状では日本が破綻するとは考えられません。
 近年では、ギリシャやロシア、アルゼンチン、アイスランドなどが財政破綻しました。これらの国に共通するのは、外国通貨建てで借金をしていたことです。しかし、日本は円建てで国債を発行しています。自国通貨については通貨発行権があるので、いざとなれば返済期限に間に合うように円を刷ることができます。つまり、根本的に「破綻」はありえないのです。

 さらに、破綻した国は、国債の多くを外国に買ってもらっていました。一方、日本は約9割が内債、つまり国民が国債を持っています。そのため、国債が投げ売りされて暴落するようなリスクはほとんど考えられません。実際、内債で破綻した国は一つもないのです。

 また、ギリシャは国債で集めた資金を、社会保障などの消費に使っていました。一方、日本は消費だけでなく公共投資にも回してきました。単なる借金として消えた訳ではなく、道路や建物、空港など、政府の資産として残っています。

 以上の理由から、日本が急いで増税して、財政再建をする必要性はありません。むしろ、長引くデフレでモノの値段と国民の所得は下がり続けています。過去10年で一世帯あたりの平均所得は、100万円以上も下がりました。この深刻なデフレ不況から脱却しなければ、日本は貧しくなる一方です。今こそ、震災復興も含めた財政政策を大きく展開すべきなのです。

首都直下型地震に備えよ

 政府による「眉唾もの」の発表でも、デフレギャップは20~30兆円に上ります。この莫大な額の需要不足を埋める方法は今,政府の財政出動の他に考えられません。ただしその資金は増税で集めるべきではありません。増税すれば企業はますます投資を控え、個人も消費を控え、需要はさらに落ち込みます。デフレ下での増税は悪循環を生むだけです。投資先として、最も「波及効果」が大きいと考えられるのは公共事業です。実は、デフレ脱却
もさることながら、公共事業によるインフラ整備が、今ほど国家の命運を分ける時期はありません。

 歴史を振り返れば、大震災は連動して起きています(表)。今回の東日本大震災によって、今後10年以内に首都直下型地震が、20年以内に西日本大震災が起こると予想されます。それが起きたときの直接被害は200~300兆円。波及する間接被害も合わせると、10年間で累計1000兆円という壊滅的な被害も考えられます。また、東海大地震が起きたら、新幹線と高速道路が寸断されて東西の交流は途絶えます。これも経済活動に相当なダメージを与えるでしょう。

 公共事業のなかでも、防災対策が今、何より必要なのです。建物やインフラの耐震強化だけでも20~30兆円。東西の交通が途絶えないように、中央新幹線と第二東名高速を開通させるためにあわせて十数兆円かかります。

 また、そもそもコンクリートの寿命は50~60年です。高度成長期につくった全国の学校や橋などのインフラが、実は2010年頃から一斉に寿命を迎えようとしています。1980年代のアメリカでは、さまざまな都市で老朽化した橋が落ち、多くの死傷者や経済的な被害を出しました。これと同じことが日本でも起ころうとしています。

 しかし民主党は「コンクリートから人へ」を掲げ、学校の耐震強化にかかる費用などをかなり削ってしまいました。4兆円が数百兆円の損失を防ぐ公共投資は、財政赤字の1番の原因のように言われます。しかし実際は、1998年から2010年の間で3分の1くらいに予算が減っています。むしろ増え続ける社会保障費のほうが問題
です。

 諸外国と比べても、公共事業に割く予算は決して大きくありません(ただし本来は,そもそも日本は地震や台風がとても多い国ですから、公共事業費が多いのが当たり前のはずなのですが)。

 一般人々にとって,子ども手当のありがたみは分かりやすいのですが、公共事業を削ることの弊害は、明らかになるまでに時間がかかります。そのため、行き過ぎた民主主義では公共事業は削られる運命にあります。しかし、これは非常に愚かしいことです。

 公共事業は資産となって残ると言いましたが、特に防災対策が残すものは人の命です。人の命や街、文化、伝統を残します。今回は,15メーターの街を大津波から守った普代村がその典型例でした。

 今、日本で最も堤防が必要なのは大阪と名古屋です。今回と同じ規模で西日本大震災が起きた場合、今の堤防では津波を防ぎ切れません。大阪駅や環状線がすべて水没し、京都と大阪の間くらいまで壊滅するという計算結果が報告されています。 これを避けるには、堤防の高さを3メートルほど高くする必要があります。工費は4兆円ほどかかりますが、それで数百兆円規模の被害を防ぐことができるのです。

 民主党政権は400年に一度の津波を防ぐスーパー堤防を事業仕分けしました。こうした投資を削るのは、将来の人の命や街、社会を破壊するのと同じです。いわば作為ならぬ「不作為の破壊行為」です。「コンクリートから人へ」というマニフェストは極めて破壊的な内容であり、断じて許すことはできないのです。


経済成長こそ財政再建への道

 金融政策を伴う国債の発行はインフレを招くと批判されます。しかし今はデフレですから、インフレ傾向になればむしろラッキーです。実際のデフレギャップは少なくとも100兆円程度の可能性も考えられますから、仮に今回の復興費をすべて国債で賄ってもインフレにはなりません。

 震災復興も含めた年間20兆円規模の公共事業を5年くらいやれば、ようやくデフレから脱却できるかも知れません。その時金利が上がるかもしれないので、金融政策も必要でしょう。両方を組み合わせて、2~3%くらいのインフレを目指すべきです。ただし,100兆円では完了しない防災対策,インフラ老朽化対策等が残される事が考えられますから,デフレ脱却以降の財政出動のためには増税を見据えることも必要となるかもしれません.

 こうしたインフラ整備は、将来の経済成長の基礎になります。ある意味デフレだからこそ、これだけの投資ができるのです。他国が100兆円から200兆円にまで上るような財政出動をすれば、インフレどころかバブルになります。日本には、まだ使っていない潜在力があるのです。

 社会保障費から失業手当などを払い続けるくらいなら、公共事業によって雇用の場をつくり、所得税を払ってもらい、消費もしてもらって、防災対策もしっかり整え、デフレからも脱却する。そのほうがよほどプラスになります。

 やはり、経済そのものを成長させるべきです。そうすれば税収も増えます。今の日本では、国債を発行して大いに公共事業をすることが、結果的に財政再建にもつながるのです。

ザ・リバティ 2011.9,pp. 49-51, 2011

出典:藤井研究室
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/images/stories/PDF/Fujii/201107-201109/editorial/fujii_the-liberty.pdf


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【藤井聡】「列島強靭化論」佐伯啓思氏書評

佐伯啓思のこの一冊『列島強靭化論』歴史通書評






出典:藤井研究室


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