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【藤井聡】大変な冷え込みが報告されています

-藤井聡教授FBよりシェア-

消費税増税後の景気状況を、下記メルマガでご紹介しました。

こうやってまとめて見ると、文字通り、

  『大変な冷え込みが報告されています』

という様子が見えて参ります......ご紹介まで。



大変な冷え込みが報告されています

内閣府は、毎月の景気状況を「月例経済報告」という形で報告しています。

先週、その7月分が公表されました。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2014/0717getsurei/main.pdf

下記でも、新聞されている通り、「景気の基調判断を、1月以来、半年ぶりに上方修正した」とのこと。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140717/fnc14071718390012-n1.htm(※1)

曰く、『緩やかな回復基調が続いている』という見通しとのこと。

つまり、この内閣府の報告を見る限り、「消費税の増税ショックを、日本経済は乗り越えられるようだ」という印象が、報告、報道されている次第です。

・・・・

では、この内閣府の判断の根拠となったデータを、確認してみましょう。

【需要側統計:個人消費】
まず、(需要側の統計である)「個人消費」については、「一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。」と評価されています。

この根拠となっているのが、「家計調査」(5月)における、

『実質消費支出は前月比3.1%減となり、「除く住居等ベース」では同0.6%増』

というデータです。この(除く住居等ベースでの先月比)「0.6%増」というところが、「持ち直しの動き」と言う文言の根拠となっています。

ですが、住居等を除くと、やはり、「前月比3.1%減」であることは間違いありません。

しかも、この3.1%減というのは、あくまでも、「消費税増税の直後の4月に比べて」です。が、より重要なのは「前年に比べてどうか?」という視点です。

この点について、総務省が、下記の様なグラフをつくっています。
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_rf2.pdf

いかがでしょう?

確かに、「除く居住等」のグラフは、4月から5月にかけて持ち直しの動きが見られる、という表現は、事実と乖離しているわけではありません。

ですがこのグラフを見て、誰もが瞠目するのは、そんなわずかな持ち直しの動きではなく、消費支出の「赤い線」が、4月、そして5月へと、(文字通り、奈落の底に転落するかの様に)「大きく減少している様子」ではないかと思います。

しかも驚くべき事に、この4月、5月の消費支出の減少は、消費税の前回増税時(97年)や導入時(89年)よりも、遙かに深刻な水準にあるのです。

・・・

ただし、実はこれは、誠に残念なことに、「驚くべき事」でも何でもありません。

そもそも、89年当時は、バブル景気まっただ中、でした。

そして、97年当時は、バブル崩壊後ではありましたが、まだ日本経済は、「デフレ」に突入する「前」でした。

ところが、今回の増税は、はじめて「デフレ不況中」に断行されたものでした。

そもそも消費税増税は、97年の例が示すとおり、日本経済を「インフレ」から「デフレ」へと導く程の破壊力を秘めたものでした。

ですから、「デフレ中の増税」は、そのデフレをさらに悪化させる潜在的破壊力を秘めていたとしても、何も「驚くべきこと」ではないのです…….

【供給側統計】

次に、「供給側の統計」については、

「小売業販売額(5月)は前月比4.6%増となった。」

と報告されており、これもまた、「緩やかな回復基調が続いている」という表現の根拠となっていると考えられます。

確かに、経産省が公表している「商業販売統計速報」によりますと、小売業販売額は、11兆160億円(4月)から11兆4,340億円(5月)へと、増加しています。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result/pdf/h2sapdfj.pdf

しかし、「卸売り」については「減少」しており、かつ、卸売りと小売りを合わせた「商業計」もまた減少していることが、「全く同じ表」から読み取る事ができます。

さらに、「前年同月」で比べて見ますと、これらの指標はいずれも、

「マイナス」

の水準となっていることが分かります。

これらを総合的に考えますと、需要側統計から「緩やかな回復基調が続いている」と判断することは難しいのではないかと、筆者には思えます。

【民間投資】
民間の「設備投資」については、月例報告では、

『増加傾向にあるものの、このところ弱い動きもみられる。』

と評価されています。つまり、弱い動きも見られるが、基本的には「増加傾向だ」という評価です。

この根拠として挙げられているのが、

「需要側統計である「法人企業統計季報」(1-3月期調査)でみると、2014年1-3月期は、前期比3.1%増となった。」

というものですが、これはナント(!)、消費税増税「前」の数値です。

そもそも、7月報告で、多くの関係者が関心を寄せているのが「増税ショックによって、どれだけ投資が冷え込んでいるのか?」という点なのですから、この数値は、そうした関心には無関係のものといってもいいでしょう。

とりわけ、「1-3月期」は、駆け込み需要で投資が増加していた時期です。ですから、この「前期比3.1%増」という数値は、『設備投資は、増加傾向にある』という評価の根拠には、一切なり得ない、とすら言うことができるでしょう。

では、『設備投資は、増加傾向にある』という表現がどこから来たのかと言えば、この月例報告においては、次の様な「根拠」が明記されています。

『「日銀短観」(6月調査)によると、2014年度設備投資計画は、全産業で3年連続の増加、製造業で4年連続の増加、非製造業では3年ぶりの減少が見込まれている。設備過剰感は、製造業において依然として残るものの、改善傾向にある。また、「法人企業景気予測調査」(4-6月期調査)によると、2014年度設備投資計画は、大企業製造業、大企業非製造業ともに増加が見込まれている。先行指標をみると、機械受注は、持ち直している』

少々、ややこしい表記ですが、要するに、「景気予測」や「計画」といった「先行指標」に基づいて「増加傾向にある」と判断しているように思われます。

しかし、先行指標とは要するに、単なる「見込み」であり、実際はもっと悪化することは十分あり得ます(これについては、後で詳しく解説します!)。

とにかく、景気判断において重要なのは、「実績」です。

で、この「投資」についての「実績」については、この月例報告では言及されていないのですが、誠に残念ながら極めて深刻なデータが報告されています。

民間の投資は、しばしば「機械受注」で評価されますが、5月におけるこの数値が、

「事前の予想が+0.7%」

であったところが、蓋を開けてみると、実に、

「マイナス19.5%」

という、超絶に悪い数値が報告されています。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=534670816633866&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=1

これはもちろん、消費税増税が民間の投資にどれだけ「破壊的」なマイナスインパクトを与えたのかを意味しています。

ただしそれと同時に、(事前予測が+0.7%であったという時事実は)、如何に多くの人々が消費税増税ショックを「著しく過小評価」していたのかを意味しています。

(#同じく、上記レポートでは、実際の5月の家計の消費支出はマイナス8%だったのですが、それについては、マイナス2.3%という、今から思えば極めて「楽観的」な予測がなされていたことも示されています)

したがいまして、『設備投資は、増加傾向にある』という月例報告の判断そのものが、楽観的に過ぎるものである可能性は、残念ながら、十二分にあると考えられるのではないかと思われます。

【住宅投資】
最後に、今後の景気動向に大きなインパクトを持っている住宅投資については、月例報告では、

「消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動により、減少している。。。。当面、減少傾向が続くことが見込まれる」

と、これまでの雰囲気と大きく異なり、悲観的な評価となっています。

ですが、その根拠となっている数値は、

「5月は前月比3.7%減」

という数値なのですが、この数字だけでは、住宅市場の悲惨さは、ほとんど伝わらないのではないかと危惧します。

そもそもこの数値は、大きく落ち込んだ4月の値を基準とした「先月比」のものですが、「同月前年比」で比較しますと、より一層、くっきりと住宅市場の「惨状」が見えて参ります。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS3002V_Q4A630C1EE8000/(※2)

新設住宅着工数は 15%マイナス
持ち家着工数は  22.9%マイナス
分譲住宅は    27.1%マイナス

という、大変な冷え込みが報告されているのです。そして、もっと悲惨なのが、

マンションが 43.3%マイナス

というものです。

しかもこの数値は、4月、5月、6月と、どんどんと悪化していっていることもまた、報告されています。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=537405783027036&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=1

繰り返しますが、住宅投資は、デフレの動向を占う上で、極めて重要な尺度です。今後、住宅市場が回復しなければ、銀行に預けられたマネーが実体市場にますます出回らなくなり、デフレが深刻化してしまうことが、強く懸念されます。

。。。。。

以上、いかがでしょうか?

7月の月例報告が適正なものかどうかのご判断は読者各位にお任せ致しますが、少なくとも、本メルマガ読者の皆様だけでも、冷静な状況判断をなさることを、祈念いたしたいと思います。




どの様な状況にあろうとも、そうした冷静な状況判断こそが、国運が開けるにあたっても、何よりも大切な契機となるに違いないのですから。。。。

以上、ご紹介まで。

PS
Facebookでは、本稿でご報告したようなデータを含めて、各種情報を提供しております。ご関心の方は、適宜フォローください。
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/07/22/fujii-100/

※1
7月の月例経済報告、基調判断を半年ぶり上方修正 増税反動は「和らぎつつある」
2014.7.17
 内閣府は17日に公表した7月の月例経済報告で、景気の基調判断を、1月以来、半年ぶりに上方修正した。「緩やかな回復基調が続いている」とした上で、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の影響部分について、6月の「反動により、このところ弱い動きもみられる」から、「反動も和らぎつつある」とした。

 甘利明経済再生担当相が17日午後の関係閣僚会議に提出した。

 先行きについては、「一部に弱さが残るものの、緩やかに回復していく」との見通し。また、新興国経済の減速を念頭に、「海外景気の下ぶれが、引き続きわが国の景気を下押しするリスク」と指摘した。

 項目別では、駆け込み需要の反動減が緩和したとの判断から、個人消費と業況判断を上方修正。一方、主要指標の悪化などから、設備投資を下方修正した。

※2
5月の新設住宅着工戸数15%減 4年半ぶりの減少率
 国土交通省が30日発表した5月の新設住宅着工戸数は前年同月比15%減の6万7791戸だった。減少は3カ月連続で、減少率は2009年12月以来約4年半ぶりの大きさだった。相続税の増税を控えた個人の節税投資で賃貸住宅は15カ月連続のプラスになったが、消費増税の影響で持ち家や分譲住宅の落ち込みが大きくなったのが響いた。

 持ち家は22.9%減の2万2288戸だった。分譲住宅は27.1%減の1万7437戸で、特にマンションが43.3%減と大きく落ち込んだ。持ち家、分譲住宅ともに4カ月連続で前年同月を下回った。

 住宅市場では4月の消費増税をにらんで個人の駆け込み購入が出ていたが、足元ではその反動で着工ペースが鈍っている。建設業界の人手不足や資材価格の高騰が足かせになっている面もある。

 一方、賃貸住宅は5月も3.1%増の2万7434戸とプラス基調を維持した。賃貸住宅には安定した運用利回りを見込み、不動産投資信託(REIT)などの投資マネーが流れ込んでいる。

 賃貸住宅は相続時に入居者の借地権などが資産評価で差し引かれるため、現預金などの相続に比べて納税額を圧縮できる効果が見込める。来年1月に基礎控除額の4割縮小など相続税の増税を控えるなか、個人が節税目的で賃貸住宅建設に動いている面もある。


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