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【藤井聡】二つの復興政策

-藤井聡教授FBよりシェア-

今朝のメルマガに,下記情報を配信致しました.

ホントに残念なお話です...


二つの復興政策

研究室の学生さんから、

東京大学の伊藤隆敏教授のホームページ
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011.htm

に掲載されている、以下の情報を教えてもらいました。

『日本経済新聞経済教室 「震災復興政策─経済学者が共同提言」』
伊藤隆敏(東京大学)・伊藤元重(東京大学)+ 経済学者有志の提言
(2011年5月23日)
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/KeizaiKyoshitsu20110523.pdf

これは、3・11の「直後」(5月)に出された、復興政策についての共同提言です.

東京大学の伊藤 隆敏・伊藤 元重・吉川 洋の各先生や、慶応大学の土居 丈朗先生等、いわゆる「経済学会」の錚々たる先生方の提言ですから、おそらく、「経済」政策の提言については、日本で「最も権威ある集団からの提言」、と言えると思います。

(※ 提言者ならびに賛同者のリストはこちら↓
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htm )

この日経の記事に書かれている通り,この提言は「市場メカニズムの活用」と,「財政や環境の持続可能性」という二つの原則からなっているのですが,これは要するに,

1.「自由化」を推し進めよ
2.「緊縮財政」を進めよ

という事を意味しています.

1.は,「TPP」等の自由貿易/グローバル化を推進すると同時に,様々な「規制」を撤廃する事を通して、経済を活性化させ,その活力を活用して復興を加速しよう,というものです.

2.は,「増税」と同時に,復興以外の様々な「予算を削る」事を通して,復興に対するオカネを捻出し,「復興事業による膨大な借金の,将来に対するツケ回し」を避けようというものです.

この様に考えますと,この提言後の民主党政権,自民党政権双方の経済政策は,概ね,この経済学会の権威の先生方のご主張に沿うものといえるでしょう.

・・・

さて,ちょうど時を同じくして,京都大学の当方の研究室では,

緊急提言『日本復興計画』
「東日本復活五カ年計画」と「列島強靭化10年計画」
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/wp-content/uploads/2013/10/20110323fujiilab_plan.pdf

をとりまとめ,参議院の予算委員会(平成23年3月22日)に提言いたしました.
https://www.youtube.com/watch?v=cu5shJHHbpI

この内容を骨子として「新書」をとりまとめ,5月1日に出版いたしました.

『列島強靭化論』



これらの提言の「一部」が政府によって採用され,今日,政府では各種「強靭化」が進められる様になりましたが,この強靭化『論』は,いわゆる復興や防災・靭化政策を主張する事に加えて,これら復興・強靭化を進める事を「通して」,財政問題やデフレ問題を「同時に解消する」という「経済政策」を主張するものでした.

その「強靭化」の経済政策の考え方は,先の経済学会の権威の先生方のそれの,ちょうど「真逆」のものでした.

あえて,先生方の「二原則」の分類を踏襲しつつ,当方の提言の原則をまとめますと,次の様になります.すなわち,

<1>「自由化」を抑止せよ
<2>「積極財政」を進めよ

これらの考え方は,次の様になります.

まず,自由化を進めるということは,市場メカニズムの力を活用する,ということです.ですが,世の中の力には,「市場の力」の他に,「政治の力」と「社会の力」があります.つまり,この世の中は,

「モノをオカネが売ったり買ったりする商売や消費のパワー」(市場の力)

のみならず,

「政府や行政の力」(政治の力)



「隣近所や家族・親戚,地域や業界,はては『国民』の力」(社会の力)

があります.

世の中が「平常時」の時,つまり,平和で安定した状態にあるときには,「市場の力」は大きな影響力を発揮できます.そして,政治も社会も,その重要性は相対的に低下していきます.

つまり,ずーーっと世の中が安定しているなら,別に警察も軍隊も政府も親戚も地域も,さして重要ではなくなっていって,兎に角,カネさえあれば,マーケットにいって好きなモノを買って,それを好きなところで消費して,不自由なく生きていくことが「できる」,という次第です(無論,そうしなくたって構わないのですが,やろうと思えば「できる」ということです).

ですが,一端何かが起こってしまうと,そういうわけには行きません.困った事が起こると,カネだけではどうにも解決できなくなってしまうのです.しかも,カネを稼ぐことすらできなく成ってしまうことだってあります.

そうなったとき,「市場の力」だけでは,どうしても,わたしたちは生きていくことができなくなってしまうのです.

こんな事は当たり前で,どんな放蕩息子でも,困り果てた最後の最後には,親兄弟に頼る,つまり,「社会の力」を活用するわけです(あるいは,警察のご厄介になったり,生活保護を受けるようになればそれは国家「政治の力」を活用している,という事になります).

,,,,で,この東日本大震災というのは,どこをどう見ても,「有事」です.「安定」の真逆の状況です.

さらに言うと,これから危惧される「首都直下地震」や「南海トラフ地震」「富士山の噴火」といった巨大リスクもまた,「有事」の危機です.そうなると,私たちの日本は,メチャクチャになってしまいます,


ですから,こうした「復興」や「災害対策」に関しては,好むと好まざるとに関わらず,「市場の力」を抑止して,「国家」や「社会」の力を活用することが必要になってきてしまうのです.

にも関わらず,無理をして,国家や社会の力を重視せず,あえて市場の力,一本で突っ切ろうとすると……結局,復興ができなくなり,防災・減災ができなくなって,結果,人がたくさん死んで,様々な国民の資産が破壊されたままとなり,結果,「巨大なツケ」が,後世に残されることになります.

そう考えれば,『「借金のツケ回し」を恐れるあまり,「さらに恐ろしい巨大なツケ」を後世に回しする』ことは回避すべし,というのが,当方の「積極財政」をすべしという,第二番目の原則だったわけです.

こう考えますと,伊藤先生達のご提言は,仮に耳あたりはよくても大量の人々の命と財産,国家の試算を破壊する巨大なリスクを抱えたものであるように思えてなりません.

しかも,今はデフレで,内需が不足している状況ですから,こうした積極財政は,いわゆる「アベノミクス効果」を持つため,日本経済,ひいては,政府の財政収支の改善に大きく貢献することも間違いない,逆に,緊縮財政をすればデフレが放置され,さらに増税をすればデフレがさらに重篤化し,結果,後世に「デフレ不況」という深刻なツケを回すことになる,という事も考えられます.

....

いずれにしても,伊藤先生達の主張と,当方の主張は,経済政策の視点で考えたとき,「真逆」にあると解釈することができそうです.

当方はここで,どちらが正しいか,を論ずることは避けますが,これだけ真逆であるなら,双方とも正しい,ということは考えられません(無論,状況が変われば,何が正しいかは変わることはありますが,私たちは,日本の歴史という,たった一つの状況を共有しているのです).

ただし,伊藤先生達の主張には,多数の日本の主要な経済学者が賛同しておられるのは事実のようです.
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htm

そして,先にも指摘しましたように,その後の経済,財政政策にも大きな影響を及ぼしているように思われます.

無論,その「真逆」の「強靭化における経済論」についても,一部の経済学の先生方(宍戸先生や青木先生等,本「新」日本経済新聞にご執筆の先生方)からの賛同をいただいていますし,政府の政策におきましても例えば「アベノミクス第二の矢」という形で,当提言に符合するものもあります.

ですがやはり,「影響力」だけを客観的に考えるなら,経済学会の先生方のご提言は,未だに,巨大な力を発揮していように思います.

ただし繰り返しますが,状況が「一つ」与えられれば,その状況において「答え」もまた「一つ」,となるはずです.

ついては当方としてはこれからも,「様々な状況」の中で,「その状況における答え」を考える努力を重ねて参りたいと思います.

無論,おそらくは,両伊藤先生はじめ経済学会の先生方達もそういう努力を重ねて行かれることだろうと思います.そして,当方の「答え」と伊藤先生達の「答え」のいずれを採択するのかは,私たち論者以外の,政治家の先生方をはじめとした、国民の皆様方であり,(誠に残念であり,かつ,情けなき事ではありますが)私たちでありません.

…..が,そんな判断をなさる際,震災直後に誰が何を主張したのかを,震災から3年半が経過しようとしている今日の視点からご確認頂く事は,一定の意味を持つのではないかと思います.

繰り返します.

震災直後,「復興のためにこそ,増税と自由化が必要である」とご主張され,そして,その主張に賛同をされた方々は,下記の方々です.
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htm

そして,彼等は,次の様に主張していました.

「消費税は生産意欲を減退させにくく,経済成長に与える影響が軽微である.消費増税は消費減退で景気後退を招くとの批判は強いが,復興投資の拡大が予想されるうえ,税率引き上げ後の消費全体も短期にとどまる.耐久財を中心とした駆け込み需要も期待できる.」
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/KeizaiKyoshitsu20110523.pdf

…..以上,ご参考まで.
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