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【藤井聡】今の日本では,財政政策は明らかに有効です.

-藤井聡教授FBよりシェア-

仮に増税が延期になったとしても,デフレ脱却が出来なければ結局はさして意味はなかった....ということになってしまいます.

だからこそ,以下の一点を深く,確実に確認しておくことが不可欠であると考えます.

  『今の日本では,財政政策は明らかに有効です』


今の日本では,財政政策は明らかに有効です.

本メルマガでも何度か取り上げました通り,消費税増税後,景気は大幅に冷え込んでいます.

これまで,景気判断について楽観的な発言が目立った政府の経済財政諮問会議でも,民間議員からついに「景気刺激策が必要だ」という発言が出るようになって参りました.
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/576698079097806

こうなりますと,焦点は,「景気刺激策の中身」に移ることになります.

この点について,筆者は例えば,

「アベノミクス「第二の矢」でデフレ不況を打ち抜け」
http://shuchi.php.co.jp/article/2018

という雑誌VOICE9月号の原稿にて,財政政策,中でも公共投資の重要性を強く主張してまいりました.

この原稿では,

1)リーマンショック後の国際比較データを見ると,「公共投資」を拡大した国家がいち早く回復している.

2)デフレ突入後意向の日本の名目GDPやデフレータの増減は,「公共投資」額の増減に大きく規定されている.

3)アベノミクスによる効果を分析すると,結局大きな影響を及ぼしているのが第二の矢(財政政策)であった.

という「実証的証拠」を提示しつつ,財政政策,とりわけ,公共投資を,今,断行すべきであるということを,強く主張しました.

一方,この原稿を受けて,その翌月のVOICE10月号に,代表的なリフレ派の経済学者であられる原田泰教授が,

「アベノミクス「第一の矢」でデフレ不況を打ち抜け」
http://shuchi.php.co.jp/article/2047

という原稿を掲載されました.

この原稿の中で原田氏は,当方の原稿を批判しつつ,結論として「金融政策の効果が大きく,財政政策の効果は小さい」と主張しておられます.

詳細は我々の原稿をご覧頂くとして,ここでは,原田氏が,当方に対して掲載している3つの反論のそれぞれについて,簡潔に再反論いたしたいと思います.

第一に,原田氏は,「近年の日本において、財政政策・公共投資の効果は小さい」と主張しておられます.筆者は,まさにその「財政政策・公共投資の効果」について, 98年以降の実証データと,昨年度のアベノミクス期の実証データを示していますが,それらデータはこの原田氏の主張は明白に事実と乖離しています.

詳細は,VOICE9月号,あるいは下記実証研究をご参照願いたいと思います.
http://www.union-services.com/sst/sst%20data/2_57.pdf
http://www.union-services.com/shes/jhes%20data/10_85.pdf

(※ なお,これら論文での当方の分析の「肝」は,第一に98年のデフレ期のデータを使っているという点,第二にデフレ下の分析であるということから実質GDPよりも名目GDPを重視するという点,そして,第三に失業率,税収など種々の変数を用いた多面的分析になっているという点にあります.これらが原田先生が挙げられたいわゆる主流派経済学における既存諸研究との相違点であり,これらの特徴故に,既存研究よりも筆者等の研究の方が明確に正当であると筆者は考えています)

第二に,原田氏は実質GDPで分析することが適当である,とおっしゃっています.しかし,この点については,VOICE9月号の図4を示しつつ指摘した「デフレ下で実質GDPを用いた分析の愚」については,ご説明いただいていません.
http://shuchi.php.co.jp/article/2018?p=2

もう少し具体的に申し上げるとするなら,もしこの原田氏の指摘が正当だとすると,「98年以降のデフレ期は,賃金が減ったり失業率が上がったりしたが,実質GDPは伸びていたのだから実は全く問題無かった,むしろ『良かった』のだ」というデフレを積極的に是認・推奨する結論を導かざるを得ぬものと思われますが,筆者にはそうした主張は到底是認できないものと考えます.

第三に,当方が示したOECD加盟諸国のリーマンショック後に公共投資を拡大した国ほど早く回復した,というデータについて,藤井の解釈が間違っていると主張しておられます.

(※ なお,原田氏はこの主張にあたって,データを改めて分析したいとお申し出頂きましたので,改めてデータを提供差し上げましたこと,ならびに,その点について,下記のようにご記載頂いた旨,ここにご報告させていただきます.

「藤井教授には、経済産業研究所論文のバックデータをすべて提供していただいた。実験しても再現できないとか、データを加工したとか、さまざまなスキャンダルが科学界で問題となっているとき、寛大にも批判者である私に、多大な時間をかけて作成されたデータを提供するという、学術的に誠実な態度で対応されたことに心から感謝し、また敬服する。この事実を読者の皆さま、ひいては自然科学、社会科学、人文科学を研究しているすべての方々にもお知らせしたい。」 )

しかし,原田氏の今回の筆者に対する反論は,残念ながら基本的な統計学についての適正な理解不足に基づいているように思われます.なぜならそもそも,相関係数は(原田氏が説明したいくつかの国の)特定のデータから算定されるのではなく(当然ながら)対象データ「全て」で求めるものです.

また,仮に原田氏がご指摘する解釈が「あり得る」としても,それは当方の解釈が「あり得ない」ということの照明にはなりません.しかも,原田氏は当方が提供したデータの「名目GDP」の分析について言及しているだけで,当方が示した失業率や実質GDPといった他の尺度については言及しておられません.

さらには,今回の当方の実証研究で密かに重要であった知見は「公共投資だけが実質・名目GDPや失業率と相関している一方,それ以外の20以上の変数については,実質・名目GDPや失業率と明確に相関していなかった」という事実です.が,この「重要な事実」についても原田氏は一切言及しておられません.

これらを考えますと,筆者が示した実証分析の極々一部をとりあげ,その一部のデータには「別の解釈も可能である」と言うことを示した上で,筆者の分析全てが誤っているかのような印象を付与しておられるのが,今回の原田氏のご批判であったと解釈できるのではないかと感じています.

・・・・

以上が,原田氏の「藤井の財政政策有効論は不当だ」というご主張は,残念ながらいずれの論点についても,正当ではない,と筆者は判断しています.

したがって読者の皆様方におかれましては是非,安心して,筆者の「アベノミクス「第二の矢」でデフレ不況を打ち抜け」( http://shuchi.php.co.jp/article/2018 )の主張をお読み頂ければと考えております.

なお,原田氏は,この一連のVOICE誌上でのやりとりの中で,「なぜ公共事業の効果は小さいのか?」という事について以下の5つの点を挙げておいでです.
http://shuchi.php.co.jp/article/1916

が,これらはいずれも今日の日本には該当しない(あるいは,理由として不適当)と考えます.それについて以下,簡潔に解説したいと思います.

(「」内が原田氏の主張であり,⇒以下が当方の解説であります).

「まず第一に、公共事業をするとは、建設国債を出して建設投資をするということだから、それをしない場合より金利が上がって、民間の投資を押しのけてしまうからである。これはクラウディング・アウトといわれるものである。」
⇒デフレ突入以後,国債発行額が増えましたが,それとは逆に金利は「下がり」続けています(つまり,このご主張は事実と乖離).
http://shuchi.php.co.jp/article/1877

「第二に、金利が上がれば資本が流入して円高になる。円が上がれば輸出が減少して、公共事業の刺激効果を減殺するからである。これはマンデル=フレミング・モデルといわれるものの結果である。」
⇒例えば,昨年,公共投資が拡大されましたが,円高では無く「円安」になっているのが事実です(つまり,このご主張も事実と乖離).
(※ ただしより詳細には,http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/04/22/fujii-86/

「第三に、効果の小さい公共事業をすればそれだけ将来は貧しくなるということだから、消費が減る。東日本大震災の復興工事で巨大な防潮堤や高台の団地を造成しているが、そこに住む人はいないという状況が生まれるだろう。いくら災害から守っても、守られるべき人がいなければ無駄な投資ということになる。」
⇒これは「効果の小さい公共事業をすれば」というケースの場合の話.もしこれをご主張されるなら,それぞれの公共事業の有効性を吟味する議論が必要になります(つまりこのご指摘は,公共投資の無効論の論拠にはなり得ません)

「第四に、国の借金が増えれば将来には増税が必要になるわけだから、そのためにいま貯蓄して将来の増税に備えるので消費が減る。」
⇒そもそも,消費動向は借金よりも景気動向に大きな影響を受けるものです.事実,今日では金融輸緩和と増税によって政府の借金が減っていますが,増税の影響で消費が減っているのが実態です(つまり,このご主張は事実と乖離).

「第五は、すでに述べた公共事業が民間の建設投資を押し出してしまう効果である。建設クラウディング・アウトと呼ぶことにしよう。」
⇒こういうイメージを持っている方が多いのは事実ですが,ご指摘の事実は存在していない,というのが明々白々な事実です(下記原稿を参照ください)(つまり,このご主張も事実と乖離).
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/10/07/fujii-111/

・・・・

ということで以上,少々細かい議論となり恐縮ですが,今回の原田先生のご主張は,今日の平均的な「一流経済学者」の先生方とおおむね共有されており,したがって,以上のように原田氏の主張の一つ一つを吟味することは,今の平均的な経済学界のご主張の誤謬を一つ一つ明確化することになる…という点については,申し添えさせて頂きます.

いずれにしても,上記の考察から,次の一点を改めて強く,明言いたしたいと思います.

「今の日本では,財政政策は明らかに有効です」


PS
原田氏のご主張の様な,「公共事業,公共投資は無駄だ」というイメージが世間に色濃く存在しているようですが,もし,そんな疑いを少しでもお感じの方は…是非改めまして,下記をお読み頂ければ幸いです!


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