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【藤井聡】先進国で崩れゆくインフラ 米では20年ぶり低水準  記事紹介

-藤井聡教授FBよりシェア-

現代文明は、石や木の文明ではなくて「コンクリート文明」。

コンクリートの最大の特徴は、簡単に加工できるものの「寿命が短い」(約50年)、ということ(!)。

だから、現代文明は、その維持回収に莫大なコストがかかります!

下記記事には、今後15年の間に、全世界でコンクリートのインフラ維持管理に必要なコストは、約2500兆円とのこと!

この問題は日本だけの問題でなく、現代文明そのものの問題なんですね。

....という時代認識が、国土強靭化の取り組みの根底にはあったのですが......十分な財源を伴った可及的速やかな対応が、全世界中で、そして日本で求められています。


先進国で崩れゆくインフラ 米では20年ぶり低水準
2015/9/11

 多くの富裕国におけるインフラの老朽化問題は、いくら強調してもし足りないところまで来ている。ドイツでは鉄道橋の3つに1つ、ロンドンでは水道本管の半分が100年以上前に造られたものだ。米国の橋は平均して建造から42年、ダムは52年が経過している。全米土木学会(ASCE)は、国内のダム約1万4000について「極めて危険」、15万1238の橋について「不完全」と格付けした。

 このように崩れゆくインフラは危険で、しかも高くつく。米国都市部の高速道路における交通渋滞によって浪費される時間と燃料の価値総額は年間1000億ドル(約12兆円)を超える。空港での混雑では220億ドル(約3兆円)が、停電によっては1500憶ドル(約18兆円)が失われている。

 経済大国が集うG20(金融世界経済に関する首脳会合)のビジネス版にあたり、各国首脳や国際機関トップらと経済界が交流するビジネスサミット「B20」の試算によると、全世界のインフラを一定水準にまで整備するのに必要な経費は2030年までに15兆ドル(約1817兆円)から20兆ドル(約2422兆円)に達するという。

 コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、富裕国の2007~12年の年間インフラ投資額は国内総生産(GDP)の約2.5%だったと見ている。本来ならば3.5%を充てるべきだったという。

 世界金融危機で財政が困窮した一部の国が経費を削減していることで、この問題はますます深刻化している。欧州委員会によると、ユーロ圏の13年の一般政府投資(インフラが大部分を占める)は金融危機前のピークとなった3兆ユーロ(約408兆円)を約15%下回っていた。イタリアでは25%減、アイルランドでは39%減、ギリシャでは実に64%減であった。同じ年、米国政府のインフラ支出はGDPの1.7%で、20年ぶりの低水準となった。

■道路の舗装で就学率が倍に

 これでは、またとない好機を逃しているようなものだ。過去6年間、古いインフラを修繕したり新事業を立ち上げたりするのに必要なコストは従来よりずっと安くなっている。金利が最低水準をつけ、建設業界の生産能力があり余っているためだ。

 インフラ関連のコンサルティング業務を行うアルカディスのサイモン・ローリンソン氏は、例えば英国における建設費は金融危機の直後には2割低下したと考えている。ここ数週間の市場の混乱により、金融危機後初となる米国の利上げは数カ月先送りされる可能性が出ているが、とりわけ米国と英国では経済が活発化するとともに失業率が下がっており、それに伴い建設費が上昇中である。

 インフラ投資は経済を大きく押し上げる効果を持っている。最も顕著な例は新興市場国に見られる。モロッコでは道路の舗装が女児の就学率の倍増につながった。インドでは公衆衛生を改善することで子どもの死亡率が5割以上低下した。

 富裕国における影響も大きい。格付け会社のスタンダード&プアーズは、政府がインフラ支出をGDP比で1%増やすことで促進される経済活動が、3年後には米国で1.7%、英国で2.5%、ユーロ圏で1.4%の経済成長につながると試算する。

■カナダやオーストラリアの先進事例

 一部の国ではインフラへの支出を増やしている。カナダの年間インフラ投資は2000~06年にはGDPの2.5%だったが07~12年には同3.3%に増えた。

 オーストラリアの州政府はさらに踏み込んだ資金の活用方法を導入している。リスクの高い初期段階にはプロジェクトを主導し、運営が可能になった時点でプロジェクトを民営化する。自由になった資金は次の計画に投入する(追加的なインセンティブとして、州政府が資産を売却した際には売却額の15%に相当する額を連邦政府が州に支給している。州政府がこれをインフラに再投資することが条件となる)。

 例えば12年、ニューサウスウェールズ州政府はカナダ・オンタリオ州教職員年金基金と、ファンド・マネージャーのヘイスティングス・ファンズ・マネジメントに対し、シドニー近郊に最近建設された海水淡水化プラントの50年間リース権を売却している。

■無用の長物となるリスクも

 だがこうした動きに倣えずにいる国も多い。欧州では昨年11月、民間投資を呼び込んで3150億ユーロ(約43兆円)を集める域内投資計画(いわゆる「ユンケル・プラン」)が鳴り物入りで発表された。だが、遂行可能なプロジェクト一覧を掲載するウェブページはまだ立ち上がっていない。事業を申し込む際に提示が求められる計画上の制約事項が影響していると思われる。マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、欧州の平均的な電力プロジェクトに対する許可をとりつけるのに4年を要するという。

 ロンドンの地下を走る新たな鉄道路線「クロスレール」が最初に構想されたのは1974年のことだったが、完工は2018年まで待たなければならない。完成したところでスペインのシウダ・レアル・セントラル空港のような無用の長物となるリスクもある(同空港は開港からわずか数年で閉鎖された)。にもかかわらず、政治家たちは相も変わらず派手で目を引くような計画を優先し、たとえパッとしなくても実用面で勝る計画を軽視する傾向にある。

 金融危機後、米国は経済刺激策として高速鉄道に80億ドル(約1兆円)を投入した。その一方で、州政府が推薦する価値の高い小規模プロジェクトに充てた金額は15億ドル(約2000億円)にすぎなかった。

■メンテナンスも有効

 こうした諸々の状況があったとしても、多額の資金を注ぐべき維持管理への支出は怠るべきではない。維持管理にも多大なバックログが存在する。パイプの漏れを直したり、道にあいた穴をふさいだり、橋を塗装したりしても、民衆の暴動を招くことはないだろう。また、過度の混乱を起こすことなく性能を高める余地も十分に存在する。舗装道路のアスファルト面にプラスチック層を追加すれば、道路の寿命を3分の1程度延長できる。

 技術投資によって既存のインフラを有効活用することもできる。この場合、レンガ1つ加える必要もない。例えばフランクフルト空港では、新しいデジタルモニタリングシステムを導入することによって1日の収容乗客数が15万人から20万人に増えた。このシステムは差し迫った阻害要因に対して前もって警告を出すものだ。

 通常、こうした修繕や改善は大規模なプロジェクトよりも見返りが大きい上に、ずっと迅速に始めることができる。現在、世界経済の先行きが不透明な中、経済を活性化する方法を模索する西側諸国の政治家たちは、地味でも効果のあるインフラ投資やメンテナンスに目を向ければいい。


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