【藤井聡】クルーグマンの主張が隠ぺいされている

-藤井聡教授FBよりシェア-

クルーグマン教授が,コラム「Rethinking Japan」にて,日本は積極財政をすべきだ!と提言していることは,本FB上でもご紹介差し上げました.

しかし,ほとんどの日本のエコノミスト,専門家は,「積極財政はワルイもの(無意味なもの)だ」という信念を(さながら信仰のように)お持ちです.

ですから,彼らは,彼らが尊敬するノーベル経済学賞教授クルーグマン氏が,「まさか,積極財政しろだなんて,一昔前のオールドタイプの学者が言うようなアホな主張なんてするはずないだろう....」と信じ切っています.

その結果,なんと,英語訳を失敗してしまっているのです!!

事実,コラム「Rethinking Japan」を解説したネット記事の中で,最も引用回数が多いと思われる下記の解説記事でも,無意識的か意図的かはわかりませんが,最も大切な積極財政にまつわる「翻訳」(ならびにその解釈)が,あからさまにまちがっており,クルーグマンが「積極財政を主張している!」という

 「真実」

が,隠ぺいされてしまっているのです!詳細は文末に記載しますが,結局,彼は,結論で,次のようにまとめています.

「結局、グルーグマンは、

量的緩和は失敗だった
自分が日本経済の自然成長率は高いと間違えたための失敗だった

と言っています。」

・・・つまり,「結論」としてクルーグマンが主張している,「デフレを終わらせるために十分に積極的な財政政策が必要だ(むろん,政治的にはその判断はむつかしいだろうけど...)!」という最も大切な主張が,無理矢理な「曲解」を経て削除されているわけです(詳細は,下記解説をご覧ください).

・・・いやぁ...我が国はこんな事ばかりしていては,景気回復なんて,永遠に不可能になってしまうでしょうね(笑).

翻訳くらいは,希望的観測はおいておいて,粛々と作業しねけりゃ,いつまでたっても,真実は日本国民には伝わらないでしょう....

取り急ぎ,ご紹介まで.

(解説)
クルーグマンは,(緊縮イデオロギーに毒された政策当局者を説得することが絶望的に難しく,したがって)デフレを終わらせるだけに十分に積極的な財政政策は(臆病の罠 timidity trapのせいで,なかなかよくやったかのアベノミクスにおいてすら)むつかしいだろうが...けれども,ほんとに必要なのは,デフレを終わらせるだけに十分に積極的な財政政策をやるしかないんだよ,と言っているのです.「What Japan needs (and the rest of us may well be following the same path) is really aggressive policy, using fiscal and monetary policy to boost inflation, and setting the target high enough that it’s sustainable. It needs to hit escape velocity. And while Abenomics has been a favorable surprise, it’s far from clear that it’s aggressive enough to get there」(直訳はこちら→「今,日本が必要としているのは,真に積極的な政策だ.すなわち,持続することが十分に可能なほどに高い成長目標を掲げた上で行う,デフレを終わらせインフレを導くに十分に積極的な,財政政策と金融政策だ.それには,いわゆる「脱出速度」(※)が必要だ.アベノミクスは大変に好ましい驚きを我々に与えたのは事実なのだが,それでもなお,それが「脱出速度」と言えるほどに積極的なものとは到底呼べぬものであることもまた事実なのである.

※ロケットが大気圏を脱出するために最低限必要とされる速度.ここでは,デフレからインフレに転換させるに十分に積極的な財政金融政策の意.」)

にも拘わらず,この論者は,

「クルーグマンがここで言うのは、財政が維持可能なインフレには、日本は至らないということです。この意味は、政府財政が維持可能でなくなること、つまり財政危機です。」

と,まったく訳の分からない解釈を,この文章に当てはめているのです.クルーグマンはもちろん財政再建についても言及していますが,それは timidity trap,つまり,財政再建しなきゃ...という臆病者が過剰に気にしてしまうものとしてと言及しているに過ぎないのです!ですから,(明確な誤訳の修正とともに)彼のこの日本語を修正するとするなら,

「クルーグマンがここで言うのは、維持可能なインフレには、日本は至らないということです。この意味は、政府財政が維持可能でなくなること、つまり財政危機がくるーーー! という臆病者の小心な不条理な懸念が,必要な財政支出をストップさせ,結果的に持続可能なインフレが達成できなくなる,ということです。」

なお,臆病者の罠(Timidity Trap)については,財政ではなく,金融ついて,クルーグマンは下記にて論じています.上記の当方の解釈を疑う方は,下記をご参照ください.
http://krugman.blogs.nytimes.com/…/…/timid-analysis-wonkish/

ちなみに,臆病者の罠(Timidity Trap)とは,流動性の罠を少々もじった,なかなか,言い得て妙な素敵なネーミングですねw

PS ちなみに,同様の病理的な反応は,下記でも見られます.クルーグマンの主張をまともに翻訳し,日本語で日本人にきちんと伝えている方は,ほとんどいないようですねぇ....
http://blogos.com/article/145488/


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