【藤井聡】財務省の「日本を黒字化するゲーム」深刻な問題を孕んでいる疑義

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本日のTV番組「正義のミカタ」で,財務省のHPで,

「財務大臣になりきったつもりになって,「基礎的財政収支」すなわち「プライマリーバランス」(PB)を黒字化するために,防衛費や社会保障費などの各項目の予算を増やすか減らすか,増税するかどうかを考えるゲーム」

が取り上げられました.下記が,そのゲームです.

このゲームは,深刻な問題を孕んでいる疑義が濃厚であると,筆者は考えます.

その点を皆様にご確認頂くには,下記を実際プレイ頂くのが,最善では無いかと思いますので,もしよろしければ,是非,下記一度プレイしていただければと思います.また,お時間無い方におかれましては,是非,下記は少々長文となりますが,その問題を指摘いたしたいと思いますので,ご一読頂ければと思います.

・・・

そもそも当方,本日はじめてその存在を伺ったのですが,昨日,ほんこんさんが実際にこのゲームを体験されたそうです.ほんこんさんは,

「このゲームは,要するに財出をカットして,増税しなければ,クリアできないようになっている.こんなのおかしいのでは!?」

という趣旨を,半ば憤慨されながら指摘しておられました.それに対して高橋洋一先生は「これは答えが最初から決められたゲームで,どうしようもない代物です」という趣旨をお話されました.

お話しによると,「財出の増加が景気を刺激し,最終的に税収が増える」というメカニズムが入っていないとのこと.それは著しく不当な設定だとの旨,当方もその問題を強く指摘したところなのですが,その真偽の程を確認すべく,先ほど改めて,実際にゲームをやって見ましたところ...

 「財出をどれだけ増加させても税収はほとんど増えない」

という設定になっていることが,改めて確認されました(!).

具体的には,
 「財出を約20兆円増やせば,PBは約20兆円悪化する」
という結果でした(逆に「減らしても」,同一の絶対値でした).

このような設定でPBを黒字化するには,増税するか,やはり財出をカットしていくしかなくなってしまいます!

(というかそもそも,政府の「財政」の目標は,国民経済を豊かにすることであり,財政赤字を削減することだけを目標に据えるというのも,著しく問題のある姿勢であると,思われますが...ここでは一旦,その点は脇におくことにします)

いずれにしてもこれは専門用語を使えば,
 「乗数はゼロ」 (and/or)  「税収弾性値もゼロ」
という設定になっている,ということです.

わかりやすく言うなら「このゲームでは,財出を拡大してもGDPは一切増えないし,万一増えたとしても,税収は一切増えないという設定になっている」,ということです.

ここで天地天命にかけて断定いたしますが,今の日本では絶対にあり得ないお話しです!

(※ ちなみに,しばしば乗数は1強,税収弾性値も1程度,というのが公式に使われており,これが著しく低いという問題も存在しますが,このゲームの問題は,その比ではありません.なんといっても「ゼロ」だからです!)

折しも,安倍内閣の経済財政政策の根幹は,

 「経済再生なくして財政再建なし」

です.だから,このゲームは完全に,この安倍内閣の経済財政政策の思想を裏切る理念で作りあげられた,著しく不当なゲームである疑義が極めて濃厚だと言わざるを得ません.

このままでは,財政について誤った認識を国民,とりわけ若いゲーム世代の青少年達に及ぼし兼ねません.ついては筆者は,本ゲームを公開され続けるということでしたら,それを修正されることが必要であると考えます.
(※ なお,海外の類似ゲームでは,財政は景気と税収に影響を及ぼすことが前提に作成されています)

なお,財政がGDPにもたらす影響は内閣府が所管するものと当方認識しております.ついては,本ゲームを修正されるのなら,内閣府の(中長期ではなく)「短期」の経済シミュレーションの知見を活用されることが適当である,という点も,申し添えておきたいと思います.

以上,ご紹介まで.

(※ なお,当方がこのゲーム担当者で,このゲームを正当化するなら,「いやいや藤井先生,よくゲームを見てくださいよ.『税制改革』の所の選択肢は,「増税額」ではなくて「税収増額」としてるんですよ.この「税収増額」には,増税だけでなく,財出による増収も含んでるんですよ」といって誤魔化そうとすると思います.がこれは完全な詭弁.なぜなら,財出による財収増は「税制改革」とは無関係だからです!)

(※ もう一つの想定反論は,「たかだかゲームなのですから,全て簡略化して行っています,そんな厳密な議論はそもそもできないのです」というもの.ですが,だとしたら,増税と財出カットだけでしかクリアできない設定の「たかがゲーム」を公開しておられる公的理由が求められることになるものと思われます).



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