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【藤井聡】「落としどころを探る」ような財出規模の決定は、愚の骨頂である。

-藤井聡教授FBよりシェア-

ホントに日本はヤバい状況。。。。ですので、久方ぶりに、正直に思うところを少しだけ 素直に書いた原稿を配信してみました。
ご一読ください(!)。


「落としどころを探る」ような財出規模の決定は、愚の骨頂である。

参議院選挙における与党勝利を受け、「大型景気対策」についての総理指示が出されました。

それを受け、メディア上では、

 「財源確保が課題」

と指摘されています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160712/k10010591841000.html

しかし、これはマクロ経済について十分理解していない方々の言いぶり、にすぎません。

例えば、経済政策についての世界的権威であるクルーグマン教授の言葉を、改めてここで紹介いたします

「 実際,現状は『低金利』なのだから,『現時点での借金問題』なんかよりも,将来,デフレが続いているのか否かという問題の方が遙かに重要なのだ.だから,今は,財政収支なんて気にする様な状況じゃないんだ.」
“In fact, the low interest rates right now mean that the weight of the future position which depends upon breaking out of deflation is much higher compared to the current budget. I would say, this is not a time to be worried about the fiscal balance
(拙著『国民所得を80万円上げる経済政策』 https://goo.gl/xkQukg P181 より)

・・・つまり、財政収支を気にするから「財源が問題」という誤った意見を口にしてしまうのですが、現状のマクロな状況を鑑みれば、そんな財政収支を気にすること自体が、常軌を逸した愚かな振る舞いなのだ、というのが、クルーグマン教授が主張しようとしたことなのです。

そもそも先のNHKの報道では、

「借金に当たる国債を4年ぶりに追加で発行することになるのか、財源の確保が課題となります。」

と指摘されていますが、経済対策を図るにあたって、国債を発行しない、という態度を貫き通すことは、不条理そのものです。

例えば、カナダのトルドー首相は、「経済成長に向けた正しい道筋を見つけることが、財政赤字の目標を達成することよりも重要だ」と述べ、「財政赤字目標にこだわらず、経済成長を重視」する姿勢を明らかにしています。
http://jp.reuters.com/article/canada-trudeau-idJPKCN0YB03O

このトルドー首相の態度こそ、デフレ脱却のための景気刺激策を展開するうえで、何よりも求められる態度です。

事実、折しも、総理はこれまで一度も、(今年の景気対策について)「建設国債を発行しません」とは口にしておられない、という点を忘れてはなりません。

しかも、総理が赤字国債を発行しないと宣言されたのは、社会保障財源には、という文脈であったこともまた、忘れてはなりません。

論より証拠。6月1日の総理記者会見の総理のお言葉を改めてここに記載いたします。

「赤字国債を財源に社会保障の充実を行うような無責任なことは、私たちは行いません。自民党と公明党の連立与党はそういうことは絶対にしない、ということをまず明確に申し上げておきたいと思います。」
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0601kaiken.html

つまり、仮に今回の(社会保障支出とは異なる)「補正予算」の支出において、建設国債、赤字国債が発行されたとしても、それは、「総理が前言を撤回した」ということにはならないのです。

もちろん、一部の方は、

「総理はプライマリーバランス目標を掲げているのに、財政赤字を拡大するなんて、矛盾しているじゃないか!」

と批判されるかもしれません。

しかし、総理が主張しているプライマリーバランス目標は、あくまでも、

 「2020年度」

という

 「ピンポイント」

の目標に過ぎないことを忘れてはなりません。

そもそも、総理はこれまで、今年の財出規模を制約するような、本年2016年度や来年度、再来年度のプライマリーバランスについては、一切言及しておられないのです。

再び、論より証拠。総理のこれまでの言葉を振り返ってみましょう。

「2020年度のプライマリーバランスの黒字化を目指す」
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0601kaiken.html 6月1日総理記者会見)

「2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化という財政健全化目標を堅持する」
(骨太方針2016、http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL02HNB_S6A600C1000000/

確かにかつては、「2018年にプライマリーバランス赤字の半減」を「メルクマール」とするという記述が、骨太方針2015には記載されていたのですが….
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2015/2015_basicpolicies_ja.pdf

増税延期を受けた今年の骨太方針には、この記述は存在していないのです。

つまり、繰り返しますが、今年や、来年、再来年の「国債発行額」を制約し、「財出規模」を制約するような総理発言や正式の政府決定は、現在、存在していないのです。

いずれにしても、デフレ完全脱却を確実なものとする

 「脱出速度」 https://www.jimin.jp/news/press/president/132402.html

を確保するためにも、財政収支やプライマリーバランス論などの「財源論」ではなく、

 「デフレギャップのサイズはどれくらいなのか?」

という計量判断基づいた景気刺激策の規模確保が必要不可欠です。

今、それができなければ、本当に日本はもう二度と、蘇ることはなくなってしまうでしょう。そしてその結果として誠に愚かなことに、財政収支を気にする事によってデフレが継続し、それによって財政収支がさらに悪化していくことになるでしょう。

これまで財出額は、

「緊縮派が○兆円、積極派が□兆円と主張しているから、落としどころとしては、足して二で割った△兆円あたりにしておこうか」

という「落としどころ」を探る「政治決着」的プロセスが往々にして採用されてきました。

しかし、今、そういうプロセスを断じて採用してはならないのです。

そうした「政治決着」が繰り返されているようでは、我が国のデフレ脱却は半永久に不可能となってしまうでしょう。

今私たち日本人は、そういう、当たり前の経済政策を打つことができるのかどうか、が問われています。そのための知力と胆力が試されているのです。

日本人が十分に理性的で、勇気ある民であることを、心から祈念いたしたいと思います。


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