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【藤井聡】事業費の縮減は「不作為の罪」~公共事業不要論の「ウソ」~

事業費の縮減は「不作為の罪」


京都大学大学院教授 藤井聡


公共事業不要論の「ウソ」を冷静に理解すべし

 過去10年以上、「公共事業では“票”にならない」と言われ続けてきてきた。事実、公共事業が票に結びついたのは高度成長期までのはるか昔であり、今や世論の中で公共事業は恰好の批判の的となっている。

 こうした世論状況を受け、過去10年以上にわたって公共事業を縮小する方針が政府によって採択されてきた。揚げ句には「コンクリートから人へ」なるスローガンを掲げた政党が政権奪取するに至ってしまった。こうした経緯の中で、政府の公共事業関係費は削減され続け、今やピークの頃の実に「3分の1」程度にまで落ち込んでしまった。

 言うまでもなく、そんな凄すさまじい事業費の縮減は、建設業界に甚大な影響を及ぼすのみならず、老朽化したインフラの放置、慢性的な渋滞の放置、空港港湾の国際競争力の低迷問題の放置、地震や水害のリスクの放置などの様々な“不作為の罪”をもたらし続けている。そしてそれらを通して、大幅な公共事業の縮減は私たち国民の足元にある「インフラ」を着実に蝕むしばみ、国民の暮らしの豊かさと安寧を蝕み始めているのである。

 こうした経緯からも自明なように、国民生活を根底から脅かすほどの深刻な事態を導いたのは、「世論における公共事業不要論」なのである。ところがそんな世論は、ともすれば“意図的”ではないかとすら思えるほどの「歪められた情報」によって形成されてきたという経緯を、皆様はご存じだろうか。

 例えば、公共事業の中でも最大規模の財源を必要としている「道路」に関して、近年では「日本は道路を造りすぎだ、もうこれ以上は不要なのだ」と主張され続けてきた。その際よく使われたのが図Aである(少なくとも筆者は、テレビ、雑誌、書籍でこの図が複数回使用されたことを確認している)。

 ご覧のようにこの図Aでは、日本だけが異様に道路が長い、という印象を与えるものである。ところがこの図は
「可住地面積あたりの道路の長さ」を示すものなのだが、実際には道路は、「可住地」(人が住める場所)以外にも造るものだ。だから普通はこの値を使って国際比較をするようなことなど「絶対に」ない。一方で「クルマが多い国には道路がたくさん必要」なのだから、図Bのような「保有台数1万台あたりの道路延長」などで国際比較をするのが一般的である。



歪んだ情報に誘導された世論

 ご覧のように図Aと図Bとでは受ける印象が全く逆だ。無論、以上の説明をご存じの方ならば誰しもが、「合理的」なグラフは図Aではなく図Bであることをご納得いただけるものと思う。

 同じようにして「公共事業の政府予算が多すぎる」「日本の工事費は高すぎる」「国の膨大な借金は公共事業のせいだ」といった主張に際しても、正当とは言い難い歪ゆがめられた情報が活用されて続けてきた様子を、筆者はそれぞれ確認している(詳しくは拙著『公共事業が日本を救う』を参照願いたい)。

 つまり、今日の公共事業政策を大きく左右し続けてきた国民世論は、「歪められた情報」によって形成、あるいは誘導されてきた疑義が濃厚なのである。

 そうである以上、1人でも多くの政治家と国民がまず、公共事業不要論をめぐって様々な「ウソ」がまかり通っ
てきたという事実を冷静に理解することが何よりも求められているのである。それこそが、あらゆる誤解や虚偽にまみれ続けてきた「公共事業」について「適正」な議論を始めるための「第一歩」として、必要とされているのである。

自由民主 2011年2月1日号


出典:藤井研究室
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/images/stories/PDF/Fujii/201006-201012/editorial/fujii_2449_8.pdf


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