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【藤井聡】適菜収氏「官僚悪玉論の愚」

藤井聡教授FBよりシェア

民主党、みんなの党、維新の会、そして、橋下や(たちあがれ日本の先生方は違いますが)石原氏個人が共通して主張する「官僚悪玉論」に対して、適菜さんが、「百害あって一利なしの論である」ことを、明確に論じておられます。

----「今必要なのは「脱官僚」ではない。祖国に忠誠を尽くす官僚組織の強化である。」

まさにおっしゃるとおりです。




哲学者・適菜収 官僚悪玉論の愚


 官僚悪玉論は百害あって一利もない。この20年にわたりマスメディアは「官僚は省益を守るためだけに動き、自分たちに都合の悪い政策を骨抜きにし、財界と癒着し、天下りをして不正にカネを手に入れてきた」などと反官僚ブームを煽(あお)ってきた。よって「政治主導により官僚支配から脱却すべきだ」「官から民へ」というわけである。

 これは政治家にとっても非常に便利な論法だ。官僚をスケープゴートにすることで、失政の責任から逃れ「国民と一緒に既得権益と闘う」というポーズを見せることができる。

 構造改革を断行した小泉政権から、「脱官僚」を唱えた民主党政権まで「官僚=悪」という構図は常に利用されてきた。
 注意しなければならないのは、官僚悪玉論の背後に国家解体のロジックが潜んでいることだ。
 官僚制批判は大昔から存在する。ピラミッド型構造をもち知性を重視する官僚制と「神の下の平等」という神学(反知性主義)をベースとする民主主義は本来極めて相性が悪い。そのため主に革命(民主化)勢力により「官僚組織は無機質で非人間的」といった批判が繰り返されてきた。

 わが国においては、戦前の官僚が強大な権限を保持していたのに対し、戦後の官僚の権限は限定されたものになっていく。よって官僚悪玉論は出る幕がなかったのだが、平成に入りバブル崩壊の犯人探しをやった際、官僚が狙い撃ちにされた。メディアは、個別の官僚の失策や不祥事と官僚制そのものを意図的に混同するような形で批判を繰り返していく。

 こうした動向を利用したのが新自由主義者だった。「小さな政府」の実現を目指す彼らにとって最大の障壁は官僚であるからだ。そこで革命(民主化)勢力により醸成された官僚に対する嫉妬や怨(うら)みを利用する形で、「官主導から政治主導へ」「中央集権体制から地方分権へ」と大きくかじを切り、官僚組織に一気に攻撃を仕掛けたわけだ。

 しかし当たり前の話だが官僚組織なしに国家は成立しない。民意や世論に流されやすい政治家とは異なり官僚は長期的視野に立った国家運営を行うことができる。国に奉仕する人間を貶(おとし)めることは国家の解体につながる。それを明確に指摘したのが福沢諭吉(1835~1901)だ。

 「余輩、つねに民権を主張し、人民の国政にかかわるべき議論を悦ばざるに非ずといえども、その趣意はただちに政府の内に突入して官員の事務を妨ぐるか、または官員に代りて事をなさんとするの義に非ず」(『学者安心論』)

 福沢の教えは「官から民へ」といった発想の対極にある。人民が国政を論じるのは結構だが、だからといって政府の中に入って役人を邪魔したり、役人にとって代わろうとするのは本末転倒だ。人民は「自家の領分内」の仕事に力を尽くし、官は矜持(きょうじ)を保ちながら国の職務をこなせ、と福沢は説いた。そこで必要になるのは官民の協力関係と信頼関係だ。

 官僚悪玉論により漁夫の利を得るのは、いつの時代でも、反国家的なイデオロギーをもった政治集団である。今必要なのは「脱官僚」ではない。祖国に忠誠を尽くす官僚組織の強化である。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121102/plc12110203180003-n1.htm

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