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【藤井聡】映画評論文 「『犬村』になりつつある日本」

藤井聡教授FBよりシェア

とある新聞での映画評論の連載の第三弾です。犬村になりつつある自覚を全く持っていない様な生ぬるい平成日本人は、たまにはこういう映画を観た方がよいのかもしれません。



「犬村」になりつつある日本

京都大学大学院教授・同大学レジリエンス研究ユニット長 藤井聡

 ドッグヴィルという映画をご存じだろうか.

 2003年のデンマークで作成された、撮影方法も物語も文字通り類例の無い斬新な映画だ.ギャングに追われた主人公グレース(ニコールキッドマン)は山奥の小さな鉱山のドッグヴィル(犬町)に逃げ込む.村人達は「偉大な作家になって自分の正義を伝えること」を夢見る、しかし実際はうんざりする程に凡庸なトムという若者を中心に彼女をかくまう.

 彼女は村人達の好意に応えようと、村の色んな雑用を一生懸命引き受ける.村の寄り合いでトムの「薄甘い正義」の話をいつも耳にしている「善良」な村人達は、当初そんな健気なグレースに親切に接する.しかし彼女への要求は日々大きくなり、挙げ句に男達は彼女の体にまで手を出す.そしてそれを知り激怒した女達は、彼女を徹底的に虐待する───.

 そんな悪夢の日々の中、グレースを追っていたギャングが村にやってくる.そして彼女が実はギャングのボスの娘であった事が発覚する.そしてグレースは父との車の中での議論を経て、倫理的な観点からこの村を消す「べき」だと判断する.そしてその意を受けた父は部下に命じ、村は燃やされ村人は全員抹殺される.

 筆者は今、日本がこの犬村になりつつあることを日々実感している.「改革」という薄甘い「正義」をワンフレーズで振りかざした小泉改革によって日本社会は破壊され、格差社会は徹底的に拡大した.国民は一切反省せずにその流れを民主党、そして今度は橋下維新に引き継がせようとしている.その間国益を守らんと闘った心あるあらゆる人々を徹底的に弾圧し続けながら───.

 もちろん現実にはグレースの父のような存在はいない.しかしこの映画はそんな村は消去される「べき」であることを明確に描写している.
 我が国日本がそんな犬村に完全に成り下がらんことを、心から祈念したい.


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