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【藤井聡】公共事業の大問題

藤井聡教授FBよりシェア


先日ご紹介していた,「公共事業の公共調達問題=業者さんをどうやって選ぶか,というもんだい」について,今朝,メルマガを配信いたしました.

世の中,いろいろなものを決めるときには,
  マーケット=市場の力
を活用するだけでは不十分で,
  オーガニゼーション=組織の力
を活用していくことが,是が非でも必要....という点を,お話しております.
(※ いわば,経済学的原理だけじゃなくて,社会学的,政治学的な原理もかつようしなきゃぁ,世の中はうまく回らない...ということですね.まぁ人間というのは,純粋なエコノミックアニマルじゃなくて,社会的存在でも,政治的存在でもありますから,当然ですよね...)



【藤井聡】公共事業の大問題

この度,当方の研究室で,

公益に資する適切な公共調達制度に関する研究(pdf)

なんていう論文をまとめました.

これは,去年の四回生の学生さんの卒論だったのですが,
その内容を,以下の様な格好で,コンパクトにまとめました.


「公共調達制度」なんていうと,少々わかりにくいかもしれませんが,要するに,「政府が何かする時に,業者を選ぶ制度」のことです.

もっとあっさり言うと,公共事業やる時に,どうやって建設業者を決めるか,という制度のことです.
(↑もちろん,政府が公共事業の場合には,ということですが)

で,なんでそんな制度について,京大の卒論で研究せなあかんのか...と言いますと,この制度がちゃんとしたものでないと,結局,国民が「大損」してしまうことになるからです.

で,この制度の話は,考えれば考えるほど,ややこしぃぃぃぃ話なのです.

ここ10年,20年くらいの間,よく言われてきたのは,
「とにかく,マーケット・メカニズムを導入すりゃぁ,世の中,うまくいんっすよ!」
っていう話でした.

が,考えてみれば,そんな訳はないことは,誰だって分かります.

マーケット・メカニズムが社会にとって「必要」であって,
「百害あって一利なし」なんてことは絶対にありませんが,
だからといって,なんもかんも,マーケット・メカニズムを導入すりゃぁうまくいくなら,
師弟関係にも,友人関係にも,親戚関係にも,家族関係にも,夫婦関係にも,親子関係にも,
ぜーーーんぶマーケットメカニズムだけをぶちこみゃぁ,いいわけですが,
そんなことは絶対ありえねぇぇぇなのは,皆さんよくご理解いただけると思います.

....ということで,かの「公共調達制度」についてもマーケットメカニズムを導入しちゃったら,やっぱ,いろんな問題が起こってきてしまったのです.

....で,これを説明するとまたややこしくなるので,簡単に言いますと,例えば...

「弱い建設業者が皆,潰れていく」
→そうなると,大地震とか大雪とかがあったとき,助けられる人が,
地域からいなくなって,結局,国民が損をする.
→それと同時に,地域経済が没落していって,結局,
東京とか大阪,名古屋の経済だけが潤うことになる.

「公共事業の質が劣化していく」
→そもそもマーケットメカニズムってのは,安いものを買う,というゴールデンルールを
重視する制度ですから,どうしても,質が劣化していく危惧が高まります.
(いわゆる,ダンピングってのも起こりますが,それは結局,
質の劣化,をもたらすことが,統計的にも明らかにされています)

...ってことで,「とにかく,マーケットメカニズムやってりゃいいんだ!」なんてのは,ちと(...というかソートー),まずい訳であります.

....なんてことは,最近特に議論されてきたのですが,そんなものは,実は,とっくの昔の明治時代でも問題になってるんです!!

....ってことを,論文にまとめたのが,上記の論文であります.

そもそも明治の頃,値段だけで業者を決めるっていう単純なルールだったので,今と全く同じ様な問題が巻き起こって,それから,大正時代,昭和時代と...いろいろな議論や試行錯誤を繰り返して,ついに,1940年,公共事業で,次のような「工業組合法」なるものが適用されるようになりました.

「1940年,建設業界も工業組合法が適用されることとなった.・・・組合が中小企業も含め,業界が組織化することにより,物資の配給や工事請負の斡旋を行うことができることとなった.つまり,組合によって仕事量の分配等が決定されつつ,談合屋等,それまでの談合による弊害を取り締まりも整備することによって,「公による配給統制」が確立された.
こうして,長年問題視されてきたダンピングや,不適格業者の入札参入の弊害が是正されるとともに,戦時体制が強化される中,物資供給の安定化が図られ,業界の統制の為に組合がその役割を担っていた.」

つまり,1940年,かの対戦直前に我が国は,
「マーケット(市場)の力」
を使うだけではなく,工業組合という
「オーガニゼーション(組織)の力」
を使った公共調達制度を,確立したわけであります.

明治時代から半世紀以上をへて,ようやくたどり着いた,
我が国の公共調達制度の最高到達点....なんてことも言えるかもしれません.

....が!!

戦争に負けて,せっかく七転八倒しながらつくりあげたこの制度もおじゃん.
さらにはそれとは真逆の発想の様々な法律が我が国にインストールされ,
再び日本国民の「オーガニゼーション(組織)の力」を,政府が正式に認めながら
業者を選定することが,ものすごく難しくなってしまったのです.

....ってことで,我が国は戦後,再び明治時代の,
混沌とした公共調達制度の時代へとまいもどってしまい,
今日の様な,大混乱時代を迎えている....という次第なわけであります.

いやぁ....歴史を学ぶってのは,ホンットに大切なことですねぇ(苦笑).

....で,これから,この公共調達制度の問題はどうすりゃいいのかってってのを,この論文ではまとめたわけです.

細かい事はさておいて,ポイントは,やはり,
「オーガニゼーション(組織)の力」
を,公式に活用する方途を探る,ということであります!

(#つまり,「組織を作ってもらって,その組織に発注しつつ,その組織の公正さを随時政府がチェックしていく,という考え方ですね.ただし,難しい公共事業については,プロポーサル方式で,ガンガン技術を査定する格好も併用することが得策です!」)

....ってことで是非とも,この公共調達制度に関しましても,制度設計のご担当(?)の方々には,
歴史を振り返りつつ,
現状の問題を分析しつつ,
未来に向かって適切な制度をつくっていく....
という当たり前の取り組みを進めて行ってもらいたい....と祈念せずにはおりません.



PS
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