【藤井聡】「レジリエンス・ジャパン~日本強靭化構想~」レビュー

拙著『レジリエンス・ジャパン~日本強靭化構想~』について、有り難い書評がございましたので、ご紹介さしあげます(笑)。

曰く。。。。「安倍政権の政策全てが解説されているわけではもちろんないですが、その基本的な考え方を知るためには、自民党の公約とか政策集とかを読むよりも、本書のほうが分かりやすいんじゃないでしょうか」とのこと。有り難い限りであります(w)、レビューワーの方、ありがとうございました(!)。

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アマゾンレビューの一部より引用

 内閣官房参与である京都大学の藤井教授の最新著で、安倍政権の経済政策(アベノミクス)の背後にある基本的な考え方や背景事実を解説している本です。安倍政権の政策全てが解説されているわけではもちろんないですが、その基本的な考え方を知るためには、自民党の公約とか政策集とかを読むよりも、本書のほうが分かりやすいんじゃないでしょうか。

 前半はアベノミクスの全体像に関する解説になっていて、日本がデフレ不況に陥った経緯と、そこから脱するためには金融政策と財政政策の両方が必要で、かつ政府部門が行う公益事業が最も有効な経済活性化策であることが解説されています。ここでの重要なポイントは、財政支出を切り詰め、規制緩和などによって競争とグローバル化を促進することを目指したかつての「構造改革」路線は今は適切な策ではないということと、デフレ不況対策に関して民主党政権が驚くほど「無策」であったことを理解することでしょう。著者は、デフレ脱却のためには、「橋本政権の行政改革からこの十五年間、やり続けてきたことの『逆』を行けばいい」と断言します。
 このことを理解するには、本書の中盤以降で解説される「国土強靱化」の構想と、その理論的な支柱となる「レジリエンス」の概念について考える必要があり、これが本書のメインテーマです。

 レジリエンス(resilience)は「強靱性」と訳されていますが、強靱の「靱」が靱帯の「靱」であることからも分かるように、鉄のようにカタいという意味での強さというよりはむしろ、環境変化に対する柔軟な適応力を持っているとか、ダメージを受けたときに速やかに回復できるといった、伸縮性を伴った強さのイメージです。
 本書では、レジリエンスの3要素が

 (1)どんな危機に遭遇しても致命傷を負わない
 (2)その危機による被害を最小化する
 (3)受けた被害を迅速に回復させる

 として定義されています。すごく単純に言うなら、レジリエンスとは「危機への耐性」ぐらいに理解すればいいと思います。この定義からも分かるように、レジリエンスの概念は「危機」というものと深く関わっているのですが、なぜそれが大事なのかというと、日本には今、

 ・長期化するデフレ不況(失業を増やし、生活を破壊し、社会を不安定にします)
 ・グローバル恐慌(リーマンショック、欧州危機、そして今後は中国経済……)
 ・3.11の震災に加え、近い将来に大地震が必ず起きる(首都圏直下、東海地震など)
 ・自国周辺での安全保障危機(尖閣諸島の領有問題など)
 ・グローバルな安全保障危機(ホルムズ海峡が封鎖されると石油輸入が止まるなど)
 ・高度成長期に建設されたビルや橋などが一斉に老朽化

 などなど、様々な危機がリアルなものとしてまとめて押し寄せてきているからです。冷静に考えると、対策を誤れば国家が破綻してもおかしくないぐらいの危険な状況なのであって、震災一つを取っても、何十万という人間が死に、何百兆円という損失が生まれ得る危機なわけです。

 また、これは日本だけの問題というわけでもありません。グローバルな規模で様々なリスクが高まっているとの懸念から、ダボス会議でも「レジリエンスの構築」がテーマになったりしています。
 これが何を意味しているのかというと、今まではだいたい「競争によって効率を高め、モノを作りまくり、世界市場で交換することを通じて、みんなで豊かになるんだ」みたいな目標を掲げて世界経済が運営されていたわけですが、今は世界的に、「これからしばらくは『リスクの制御』に重きを置いていかないと、経済システム全体が破滅しかねない」という考え方にシフトしつつあるということです。

 大事なのは、「レジリエンス強化」の方向に舵を切ることは、べつに「守りに入って経済成長をあきらめる」ことを意味するわけではないということです。本書の後半では、レジリエンス強化がむしろ今後の経済成長を促すであろうということが解説されており、実際に、レジリエンスの高い国家ほど経済成長力が強いという海外の調査結果があるようです。これは考えてみれば当たり前の話で、企業は将来の見通しに基づいて様々な投資を行う必要があるので、「危機に脆弱な社会」でビジネスが健全に発達するわけがないのです。また、レジリエンス強化のためのインフラ建設を中心とする公共投資そのものが、雇用の増大に著しく貢献するので、デフレ不況対策も同時に兼ねることになります。

 本書が論じている(そして安倍政権が政策目標に掲げている)「レジリエンス」や「強靱化」というのは、単なる震災対策のことを言っているのではなく、日本の社会・経済システム全体を危機に強い体質にしていくための取り組みです。したがって、金融・情報通信・エネルギー供給など様々な分野が連関するネットワーク/システムとしての視点が不可欠で、多様な分野から英知を結集して「オールジャパン」で取り組まなければならないと著者は言います。これが「レジリエンス・ジャパン」構想です。
 NTTデータの山下徹氏の「それぞれの社会インフラについて、『自律性を高めて、一極集中せずに分散して、なおかつそれがネットワークで結ばれて協調していく』(「自律」・「分散」・「協調」)という視点と、『統合運用する』という視点が重要」という発言が引用されていますが、要するに各種のインフラや制度を全体として上手く機能させる仕組みを作ることで、社会全体として「危機への耐性」を強めていくというのが、今後の日本の国家目標であるということです。
 この構想からすると、「地方主権」や「道州制」などはレジリエンス低下の要因でしかないので、本書では最後に一章を割いて徹底批判が行われています。

 全体をまとめると、
 ・日本は、デフレ不況の長期化や大地震をはじめ、様々な方面で深刻な「危機」に直面している
 ・危機への耐性としての「レジリエンス」の強化が、今後の政策の最重要目標である
 ・「デフレ不況対策」と「レジリエンス強化」のいずれの観点からしても、従来の「構造改革」路線は今とるべき政策ではない
 ・様々な分野の組織が協調し、「オールジャパン」体制で国家の「構造強靱化」に取り組まなければならない
 ・強靱化は、ひいては今後の日本の経済成長と国際競争力の向上にも資するであろう
 ということです。

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