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【藤井聡】防災文化を織り込んだ社会

-藤井聡教授FBよりシェア-

今週のメルマガ記事です。ホント、こんな社会になればいいのになぁ。。。。という願いをさくっとまとめました(笑)。



防災文化を織り込んだ社会

今、国会では、様々な「防災」「危機管理」についての法案が審議されています。

そんな中、「首都直下地震特措法」が、過日衆議院を通過し、近日中に成立する見込みとなっています。
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20131115/3056411.html

そしてこれから、南海トラフの特措法、そして、国土強靱化基本法についての審議が重ねられ、場合によっては近日中に、首都直下地震特措法と同様、衆議院を通過し、成立する可能性があるのではないかとも言われています。

そんな中、過日衆議院の防災特別委員会の参考人質疑が行われ、誠に僭越ながら、当方も、参考人の所見を申し上げる機械を頂きました。

Youtube = http://www.youtube.com/watch?v=hdGmQCPpOUE
ニコ動= http://www.nicovideo.jp/watch/sm22253493?ref=search_tag_video

その折、当方はその意見陳述の最後に、次の様に申し上げました。

『つまり、災害に強い社会とは、
「災害のためだけの特別事業を別途行っているだけの社会」では無い。
そうした特別事業を一定水準進めると共に、
「あらゆる事業が、災害を見据えたものに調整されていく社会」である。
つまり、「社会風土・文化」の中に、災害対応が織り込まれている社会。
これこそが、「強靭化」と呼ばれる取り組みの要諦なのである。』
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/wp-content/uploads/2013/11/saigaitaisaku20131114.pdf

もちろん、災害に対して最悪に弱い社会とは、災害を一切想定せず、そのための備えも、訓練も何もしていない社会です。

そして、当方が感じますのは、今の日本というのは、そんな、極めて災害に弱い社会に近づきつつあるのではないか。。。。というものです。

ですから、今の状況では、「災害のためだけの特別事業を別途行っていく」ということが、非常に大切だと思います。

それは例えば、年に一回の防災訓練をやりはじめるとか、防災の会議を地域毎、業界毎に行っていくとか、防災担当者を新たに任命するとか、あるいは、津波堤防を作る等。。。。です。

しかしここで主張しているのは、「災害のためだけの特別事業を別途行っている」という「だけ」では、本当に強靱な社会にはならないだろう。。。という点です。

では、どういう社会が、災害に対して強靱なのかと言えば。。。。そういう特別事業も当然一定程度行っていくことは必要なのですが、それだけでなく、「あらゆる事業が、災害を見据えたものに調整されていく」という状況になっていることこそが、必要なのだと思います。

例えば、首都直下地震の被害を超絶に拡大させる本質的原因は「東京一極集中」です。ではなぜ、この一極集中が生じたのかと言えば、結局は、「どこに住むか考える」という、多くの法人、個人が長期的には幾度となく行う、至極一般的な意思決定の際に、「地震のリスクを考えていなかった」という事が、理由だと考えられます。

もしも、「どこに住むか考える」際に「地震のリスクについてよくよく考える」という風潮が我が国にあれば、ここまで一極集中が進まなかったと考えられるでしょう。

ただし、このように「地震についてよくよく考える」という「特別」な事などしなくても、もっと強力な方法があります。

それは、もしも多くの日本人が、「生まれ育った街や村で生涯を終える事が当たり前だと考える」「生まれ育った街で、しっかりを仕事をし続けるのが当然だと考える」「先祖の墓を守るのが足り前だと考える」という、少し前なら至極当たり前だった風習を、今でも持っていたとすれば、仮に地震の事など何も考えていなくても、東京に一極集中することなく、日本は強靱なままだったのです。

これこそが、『「社会風土・文化」の中に、災害対応が織り込まれている社会』です。

この様な例は、いくらでも挙げることができます。

家を建てる時に地震のリスクをどこまで考えていたか、という事は、家の強靱化にとって、極めて重要です。

でも、より強力なのは、(例えば、京都なら)「昔ながらの京町屋の建築工法を採用する」というものです。なぜなら昔ながら土壁を基調とした建築工法は、地震に対する粘り強さがハンパ無く高いからです。

ある地域で防災会議を行って、関係者間で意見交換を行うことは、その地域の強靭化にとって、極めて重要です。

でも、そんな防災会議などわざわざ行わなくても、普段からその地域に濃密なコミュニティが存在し、普段から様々な情報を交換する社交の場が存在しているのなら、彼等はどんな災害が起こっても一致団結してそれに立ち向かい、そこから立ち上がる事が可能となるでしょう。

・・・・

筆者が理想とする強靭化の取り組みとは、このような『「社会風土・文化」の中に、災害対応が織り込まれている社会』を目指して、あらゆる行政、あらゆるビジネス、あらゆる社会活動が、少しずつ少しずつ「調整」されていく「改善」されていく社会です。

それは、「構造改革」と呼ばれる機械的で無機質で暴力的な取り組みとは全く異なる取り組みです。
あえて類似した言葉を用いるとするなら、筆者が理想とする強靭化の取り組みは、

「体質改善」

です。

「構造」という言葉は、対象を機械のように見立てた時に用いる言葉です。

しかし、私たちの社会は機械ではなく、有機体です。だから、構造という言葉よりも「体質」という言葉が適当だと思います。

「改革」という言葉は、それまであったものを全て一旦ご破算にして、ゼロベースで新しいものを、さながらプラモデルを作りあげるようにして設計して作る、という、激しい言葉です。

しかし、私たちの社会は有機体です。だから、そんな改革をしてしまえば、衰弱して、最悪の場合は、その息の根がとまってしまうかもしれません。有機体である以上、その対象に対して為すべき取り組みは、そんな改革ではなく「改善」であるべきだと思います。

。。。。

つまり、強靭化とは、

「今まで、地震リスクがあるという事を想定せずに、度重なる改革を通して作り替えられてきた、有機体としてのこの私たちの社会を、地震リスクがあるという事を想定し、その地震リスクがあるこの環境の中でも上手に生き残る事ができる様な社会に、少しずつ、その体質改善を図っていく取り組み」

というものなのではないかと、当方は考えています。

そして。。。。

今、国会で議論されているその基本法(国土強靱化基本法)は、まさに、そんな体質改善の取り組みを、政府が行っていくことを保証する、日本国家にとって極めて重要な意味を持つ法律なのではないかと、考えています。

今週も、その審議が続けられますが、是非、この基本法の行方を、ご注視願えればと思います。

ps
「強靭化」は、様々な思想の上に成り立っています。ご関心の方は是非、こちらをどうぞ。



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