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【藤井聡】青木泰樹教授 「量的緩和の出口戦略について」

-藤井聡教授FBよりシェア-

アベノミクス第一の矢=金融緩和、でありますが、これを無限に続けていくことは。。。。できません。どこかで米国のFRBの様に、縮小していくことが必要となります。

ところが、FRBの量的緩和の縮小は、世界中に、とりわけ経済の不安定な途上国に深刻なダメージをもたらしかねません。。。。そういう点を考えますと、我が国の金融緩和についても、その有効性を確認すると同時に、どうやって縮小させていくのか。。。。という出口戦略が必要となります。

この金融緩和の出口戦略について、いつも大変にお世話になっております、青木泰樹教授からメモをいただきました。お伺いしたところ、どこかに公表してはおられず、当方とのメールやりとりの中で、ご用意いただいたメモ。。。とのこと。

このまま当方の手元だけに置いておくのも大変にもったいないと思い、青木先生にご確認の上、ここに、皆様にご紹介致します。

専門的な内容ですが、大変に素晴らしい分析、ご主張でありますので、是非、ご関心の方は、ご参照下さい!

以上、ご紹介まで。

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                 平成26年2月8日
量的緩和の出口戦略について
                     青木 泰樹

1.論点:適切な出口戦略=新たな政策への入口戦略

 量的緩和政策の出口戦略として、巷間言われていることは、「金融緩和を止めた場合のショックを如何に最小化するか」ということであろう。緩和の規模が大きければ大きいほど、政策転換時の悪影響が懸念されることになる。逆から見れば、出口戦略の意味するところは、「量的緩和の継続は、実体経済に悪影響を及ぼす」との認識である。すなわち、量的緩和策を経済における「緊急避難の手段」として位置づけ、危機が去れば止める必要があると考えているのである。薬が変じて毒になると。
 もちろん、量的緩和策を止めることによって実体経済が混乱しては元も子もない。それゆえ、漸次的な縮小策が米国FRBにおいて論議され、また日本においても関心が高まりつつあるのが現状であろう。しかし、こうした一般的認識は、表層的なものであって本質を捉えたものではない。そもそもなぜ出口戦略が必要なのかという原点に立ち返れば、それは明らかである。
すなわち、出口戦略は「金融政策のみに頼ることの限界」を示すものなのである。金融政策に全てを委ねた結果として、出口戦略が必要になってしまったと認識することが肝要なのである。本来、適切な政策手段をとっていれば、出口を考える必要ないのである。副作用は生じないからである。
それでは、適切な政策とは何か。言うまでもなく、金融緩和政策と拡張的財政政策の併用によるポリシーミックス政策の推進である。あくまでも実体経済の豊かさを追求するのが経済政策の王道なのである。その結果として、適度なインフレが生ずるのである。実体経済の動向を無視して、徒にインフレ目標を掲げるから、インフレ目標達成後の金融政策をどうするかといった問題が生じてしまうのである。それゆえ、政策目標も「雇用者報酬の増加率(2%)」を掲げるべきである。
現在、経済構造の変化として、正確には人為的な構造改革政策の結果として、非正規雇用が増加しつつある。直近の統計では、全雇用者の36%、男性に限っても20%が非正規雇用である。それゆえ、完全雇用に対応する失業率を目標としても、それが勤労者の懐具合を正確に表すものではなくなった。正規雇用と非正規雇用との賃金格差は明確だからである。したがって、失業率の低下が勤労者の豊かさと必ずしも一致しない状況が現出した。失業率よりも、公務員もサービス業も役員も含めた勤労者の所得を表す雇用者報酬を目標とするのが適切な所以である。
さて、それでは現状における量的緩和政策の適切なる出口戦略とは具体的には何か。第一に、金融政策に過度に依存することの危険性を国民に周知させることである。第二に、その反省を踏まえ、先に示した新たな政策転換を宣言する(コミットメントする)ことである。真の出口戦略とは、量的緩和政策の後始末と同時に、その悪影響をマイルド化することである。それは、国民に安心感を与える新たな政策転換への入口戦略でなければならない。

2.量的緩和策の着地点:マネーゲームに脅かされる世界経済

 量的緩和策の発動は米国FRBが先行し、日銀は昨年より後を追った。両国の量的緩和策の基本的考え方は異なるが、出口戦略に関しては、双方とも金融市場の混乱が懸念されている。ここでは日米金融当局の意図を素描し、かつ量的緩和政策がマネーゲームの中に位置づけられていることを指摘する。

 FRBの実施している今回の量的緩和策(QE3)の背景にあるのは、金融政策による実体経済コントロールと言う主流派経済学の思想そのものである。彼等は金融市場と労働市場をリンクさせて政策立案を行っている。それゆえ、FRBの場合、政策目標は「失業率7%」を目途にして金融調整を図っている。さらにFRBが実体経済を重視している証左として、失業率ばかりでなく雇用者数の増減(率)をも政策変更の基準としていることである。景気動向に応じてレイオフが常態化している米国では、日本よりも雇用の流動化は進んでいるのであろう。それゆえ、勤労者の懐具合を推し量るための直接的な指標が用いられていると思われる。
もちろん、物価動向に無関心な中銀など存在しない。FRBも同様である。ただし、ここ数年米国のインフレ率は1~2%で低位安定している。かなりの量的緩和を行なっているにもかかわらず、インフレ率が上振れしないということは注目に値する。日本ほどではないにしろ、それは金融部門内のカネが実体経済へ回らない状況を意味している。こうした状況下では、量的緩和は金融部門内のマネーを増加させることになる。この現象は、金融政策だけで経済コントロールを図っている諸国に共通するものである。すなわち、量的緩和が投機的資金の滞留となっていることである。
FRBは量的緩和政策を景気回復のためと位置づけながら、異なる結果を生んでしまった(それが意図されたものか否かは不明であるが)。すなわち、FRBの量的緩和策の動向は、完全に金融業界、特に投機筋にとってマネーゲームの格好の判断材料にされてしまったからである。具体的には、量的緩和の継続は、「リスクをとることが可能」というシグナルとなり、新興諸国市場へのホットマネーの流入をもたらした。それによって新興諸国の金融市場にバブルの種がまかれ、ドル安が現出した。逆に、量的緩和策の縮小、いわゆる出口戦略発動の予想は、新興諸国の通貨不安や信用不安を招くことになる。グローバル化が進んだ今、それは世界的な経済恐慌の引き金にもなりかねないのである。それによって米国経済もタダでは済まされないであろう。
FRBの量的緩和策は、米国をはじめとする新興諸国の金融市場への大量の投機的資金の提供であるにすぎない。それは明確に米国の実体経済を回復させる決定打とは程遠いものであった。世界中にばらまいた投機マネーの回収がFRBを悩ましている出口戦略なのである。

翻って日本である。日銀は大胆な量的緩和に踏み切った。それはリフレ派の論理に基づきデフレ脱却を図るものである。ただし、FRBの量的緩和政策は景気回復を目的としていたのに対し、日銀のそれはデフレ脱却と実体経済の状況を分離している点で決定的な違いがある。簡単に言えば、「インフレ目標=デフレ脱却」であるが、「インフレ目標=景気回復」ではない。それゆえ、インフレ目標の達成と勤労者所得の低迷は両立し得る。インフレ目標を達成しても、実体経済が良くならなかったらどうするのか。その可能性は大いにあり得る。
今回の黒田日銀の時間軸短縮コミットメント戦略は、「2年でインフレ率2%を目指し、そのために2年でベースマネーを2倍(130兆円増)にする」という前代未聞の強力な政策である。特にベースマネーの倍増は、1年間で日経平均株価を50%ほど上昇させることになった。FRBと同様、投機的マネーを供給することはできた。円安は生じ、株価の上昇により資産効果は生まれ、世間の気分が好転したのは、正しく量的緩和策の成果である。
しかし、それでも雇用者報酬は上昇していない。十数年間下落した後の低迷が続いている。これでは個人消費は伸びようがない。実体経済は未だ回復していない。道半ばなのである。最大の問題は、FRBが実体経済の動向を失業率や雇用者数の増減によって注視しているにもかかわらず、日銀はそうした配慮が見られないことである。名目GDPの上昇に大きく寄与したのは公共事業の増加であることを忘れているように思える。

既存の経済理論に基づく限り、日銀もFRBと同じ宿題(投機マネーの回収)を背負っていると考えられよう。しかし、そうした懸念は不要である。先に示した通り、「経済政策にとって重要なのは実体経済である」という当たり前の認識を持ち、その考えに沿った経済政策を実施してゆけばよいだけの話である。その意味で、経済通念を打破し発想の転換を図ること(特に政策策定者のそれ)が、最も肝要であると思われる。

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